海ってどこ思い直
「ねえねえ、ゴールデンウィークどうする?」って、同じ会社の松田さんに言われて、正直、面倒だなって思った。どこか行かなきゃいけないのか? そもそも俺らは
Nespressoつきあっているのか?
最初、松田さんから「映画の試写会の券があるんですけどぉー」なんて、ありきたりな誘いを受けて一緒に映画を観に行って、別れ際に「またね」なんて言ってしまったのがいけなかったのか。やたら積極的な松田さんに誘われるまま出かけては、「またね」「またね」を繰り返しながら半年が過ぎてしまった。
このままズルズルつきあったらヤバいと思うんだけど、断る勇気がない。
「ゴールデンウィークねぇ……どっか行きたいところでもあるの?」と、とりあえず訊き返してしまう俺。
「えっとね、春色の汽車に乗って、海に連
咖啡粉囊れて行って欲しいな~なんて」
ほーら、だから面倒くさい。春色って何色だよ。の海だよ。
「んじゃ、菜の花色の総武線でいいかな?」
「うん!」
近場近場。
稲毛の海でウインドサーファーを眺めた。松田さんが同僚たちのうわさ話をするのを聞きながら俺はタバコばかり吸った。松田さんの作って来た塩気の足りないおにぎりを食べて、またタバコを吸った。iPodで音楽を聴きたいなと思ったけど、イヤフォンの片方を松田さんに貸せと言われたらいやだとしてタバコを吸った。
松田さんはピッタリと俺に寄り添うように座ってそれなりに満足しているらしかった。
「わたし、ジュンちゃんの生き方が好きよ」なん
Nespresso咖啡機て鼻にかかった声で言うけどその声、風邪でも引いているのか花粉症なのか? だいたい俺の生き方ってなんだよ。この優柔不断な生き方か?
ああ退屈だ。なんの話題も浮かばない。
今にも雨が降りそうになってきたのをいいことに、「そろそろ帰ろうか」と声をかけて立ち上がった。