2016年03月15日
から顔を背け

「それは、私にも」
圭子は、死後、初めて知った兄の一面に、ショックを受けているらしく、言葉少なになっていた。
結局、大量の書籍は、古本韓國 泡菜屋に売却し、一番奥の棚の本については、誰の目にもつかないように処分することになった。二人は、それからしばらくの間、一番奥の書架から、大量のビデオや写真集などを運び出しては、黙々と段ボールに詰めていった。それだけで、中型の段ボール六箱分にもなった。
「これ、どうします?」
「とりあえず田舎に送ってから、どこかで燃やすか、ゴミとして処分できるところを探します」
圭子は、見るのも嫌だというように、段ボールた。
「でも、ここには、兄自泡菜 食譜身の本はあんまりないんですね」
ぼんやりと部屋を見渡しながら言う。
「何冊か、持って帰ろうと思ってたんですけど」
早苗は、はっとした。
「……近くに、貸倉庫があるんです。今もまだ、そこにまとめて置いてあるはずです」
「えっ。そうなんですか。知りませんでした。じゃあ、一応、そこも見てみないといけませんね」
立ち上がろうとする圭子を、早苗は押しとどめた。
「もしよかったら、今から私が行って、どれくらい本があるか確認してきましょうか?」
「でも、それじゃあ」
「場所がちょっと、わかりにくいんです。二人で行くよりも、手分けした方が、早く片づくと思いますし」
貸倉庫の鍵《かぎ》は、すぐに見つかった。早苗は、圭子の気が救世軍卜維廉中學変わらないうちにと、鍵を持って高梨の仕事場を後にした。倉庫までは、早足で十五分近くかかる。初夏の風は爽《さわ》やかだったが、汗ばむような思いだった。
Posted by amizhu at 12:41│Comments(0)